【思い出のマーニー】内容ネタバレと解説!サイロで和彦が現れた理由の考察も!

ジブリの映画作品で「思い出のマーニー」といえば、シカゴ国際子供映画祭で最優秀アニメーション作品とをして受賞された作品ですよね(*^^*)

「借りぐらしのアリエッティ」も手掛けた米林宏昌監督が指揮されている作品となり、宮崎駿・高畑勲監督両名が制作には一切関わっていないことでも有名になった作品です。

何度か「思い出のマーニー」を観ているのですが、ちょっと気になったのはサイロでの出来事です。

マーニーの正体も気になりますが、どうして和彦(かずひこ)が突然出てきたのでしょう?

謎が多いとされる「思い出のマーニー」です。サイロの解説と和彦が出てきたシーンを考察してみました。

 

これより先はネタバレになります。

まだ映画をご覧になっていない方は注意してくださいませ!

最後まで読んでいただけると嬉しいです。

思い出のマーニーの内容ネタバレ!

ネタバレをする上で欠かせないのが杏奈とマーニーの関係です。

杏奈とマーニーは孫と祖母であることが映画の終盤で描かれています。

夏祭りに村の子供である信子から、目の色が青いことを言われているシーンで、「あれ?もしかして・・・」と思った方もいるのではないでしょうか。

マーニーの父が外国人で母は日本人らしい容姿をしています。

ということはマーニーはハーフであり、孫にあたる杏奈がクォーターとなりますので、目が青いというのもうなずけるものです。

ただ、杏奈自身にしてみれば言われたくないことだったようでした。

 

映画を見た人からの評判で意味がよく分からないいう声がある

すでに亡くなっている祖母が若い姿で杏奈と出会ったり話したりすることは現実からかけ離れています。

白昼夢・幽霊・タイムスリップ説ではないかという声がネットに上がっていますが、

こういった原因は何故マーニーが杏奈と出会ったのかという説明が映画で語られていないからです。
(調査したところ原作でもはっきりとした説明はされていないようです)

説明されていないので、映画を見ても内容が難しく思えるのではないでしょうか。

人によっては消化不良のように感じるのかもしれません。

この映画は、最初から最後までしっかり観てないと、散らばっている伏線を見落としてしまうような気がします。
(私は2回観て「なるほど!こう言いたかったのか!」と思ったりしました)

前置きが長くなりましたが、解説へと進みたいと思います。

「思い出のマーニー」マーニーの正体は?

サイロのシーンを語る上で、マーニーの正体にも触れたほうが分かりやすいと思ったので、和彦よりも先に解説させていただきます。

マーニーの正体は空想の人物です。
これは杏奈自身が語っています。

「マーニーは私が作り上げたの。空想の中の女の子」
湿っ地屋敷に引っ越してきた彩夏(さやか)と出会い、マーニーについて問われ時に出てきたセリフでした。

では、マーニーの正体について考察したいと思います。

物語全体を通して考えてみても、杏奈は祖母であるマーニーの顔はおばあちゃんの時の姿しか知らないと思うのです。(おばあちゃんと一緒にアルバムを見たということも考えられますが、映画にはそのような伏線はなかったので外します)

では、どうしてマーニーの姿形は金髪であったのか。

もうお分かりの方も多いと思いますが、マーニーの葬式に杏奈が持っていた人形がマーニーに似ているのではないでしょうか?

空想の人物を作り上げる上で姿形がなければなりません。

人形がモデルであると推測します。

では、空想の人物が偶然にも祖母の名であるマーニーという名前が付くでしょうか?

それは物語の終盤で、杏奈を引き取って育てている頼子から受け取る写真に答えがあると考えました。

施設から養子へともらい受ける時に、杏奈が握りしめていた写真だという説明があります。

杏奈が初めて見た時の湿っ地屋敷を「知っている気がする」と呟いていました。

湿っ地屋敷を見たことにより、杏奈の潜在意識が働いてマーニーという空想の人物を作り上げるきっかけになったと思います。

空想の人物と言ってもマーニーの表情は豊かで好奇心旺盛。

杏奈は何を元にマーニーという人物を作り上げたのか仮設を立ててみました。

  • 祖母であるマーニーが自分の過去を語った記憶を元に形成
  • 杏奈が作り上げた理想像

2つの要素がマーニーという人物を作ったのだと思われます。

理想像というのは、サイロに行く前にお互いの境遇を打ち明けたシーンにあると考えています。

マーニーと過ごす出来事は祖母であるマーニーから聞いた実話を再現していますが、以下のシーンは杏奈が無意識に作り上げたものだと思います。

杏奈は役所から自分の養育費の割合が増えるという書類を見てしまった。本当の子供だと思うならお金を受け取らない。と胸の内にあった感情を吐き出しています。

一方で、その話を聞いたマーニーは「養女にしてくれたお父様やお母様こそ本当に親切な人なんじゃないかしら」と言っています。

つまり、マーニーの言うように、杏奈は育ての親には感謝している。そういうふうに言えるマーニーのようになりたいと思う表れなのではないでしょうか。

マーニーの正体についてまとめると

  • 祖母の昔話が土台となっている
  • 姿形は杏奈が持っていた人形がモデル
  • 自分の理想像

というのが組み合わさって空想上の人物=マーニーができあがったと思われます。

「思い出のマーニー」サイロに和彦がいるのはどうして?

サイロのシーンをざっくりとおさらいをします。

先に行ってしまったマーニーを追いかけてサイロへ杏奈が入ります。はしごを登ってみるとマーニーが恐怖で震えていました。

何故かこの時にマーニーは誰かのコートを羽織っているのですが、杏奈は気にする様子でもなく、サイロを出ようとマーニーの手を引きます。

雷雨が激しくなり、マーニーが動けないほど怖がったため、サイロにとどまることにしました。

身を寄せ合って杏奈が目を閉じると、子守唄から始まる回想シーンがはじまり年老いた杏奈が小さな子を寝かしつけています。

「そうやって一晩中サイロの中にいたの。
私は怖くてたまらなかった。
そこへおじいさんが来たの。
よーく頑張ったと励ましてくれた」

寝かしつける回想シーンが終わったあとに、和彦がマーニーを迎えに来ました。

そして一緒にサイロを出ていくのです。

以上がサイロに登場する和彦のシーンとなります。

 

では、解説と考察に入ります。

映画を観た方ならお分かりですよね(*^^*)

ここでマーニーが杏奈の祖母だったのでは?と思わせるシーンでした。

注目したいのがシーンの切り替わりです。

和彦が出てきたのは、祖母であるマーニーが杏奈に昔話を聞かせたあとのシーンです。

杏奈が目を閉じてから子守唄が流れてきたので、眠りに入ったのではないかと考えました。

つまり、杏奈が幼い頃の記憶を具体的に夢となって出てきたと思うのです。

杏奈は夢を見ている立ち位置なので、マーニーと和彦の姿しかなかったというわけです。

 

この回想シーンで気になるセリフがありました。

「よーく頑張ったと励ましてくれた」

と、幼い杏奈に話しているマーニーの言葉です。

ということは、和彦はサイロにマーニーがいるのを承知していて、日が昇った早朝に迎えに来たということだと感じました。
(マーニーと和彦が出ていこうとしているサイロの出口が眩しさを印象づけたものでした。このことから早朝と推測)

サイロにいたマーニーが羽織っていたコートは和彦のもので、夜の寒さをしのぐためにあらかじめ渡したものだったのでしょう。

 

↑アンクのツイートを見て驚きました。金曜ロードショーの公式Twitterで「マーニーさんという存在は、杏奈さんが現実世界での生活に意識を向けると消えてしまいます」と呟いています。

思わぬところに、思いっきりネタバレしていますね^_^;

「思い出のマーニー」日記とサイロとの関係

湿っ地屋敷に住むことになった彩夏が発見した破られてた日記には、次のようなことが書かれていました。

向き合わなければならないと言う。いっしょうけんめいやってみたけど、やっぱりプルートはこわい。
和彦があたしをサイロにつれて行こうとする。私はぜったいに行かない。
あの人があのことでわたしをからかうのをやめてくれればいいのに・・・

この内容から考えられるのは和彦が「怖かったら克服するしかない」とでも言ったのかもしれません。(幼馴染に対してかなりのスパルタな感じがします)

嫌がるマーニーをサイロに連れて行ったと思われますが、回想シーンで杏奈に聞かせた昔話を照らし合わせると、最終的にはマーニーも納得してサイロに入ったと思われます。

ちなみにプルートとは湿っ地屋敷で飼われていた犬のようです。ジブリ映画では説明はありませんでしたが原作にあるようです。

マーニーがサイロを怖いと思うのはどうして?

「悪い子はサイロに入れられる」

というマーニーの台詞があるので、小さい頃から言われ続け恐怖心を植え付けたと思います。

湿っ地屋敷ではお手伝いは2人います。マーニーは彼女らのことを「ねえや」と呼んでいます。

そのねえやたちが、ばあやの指示によってサイロへ入れられそうになります。

サイロに付いた途端に雷がなり始め、驚いたねえねたちはマーニーを連れて屋敷に戻るのでした。

両親たちは家に戻ってくることは少なく、使用人によるマーニーへの嫌がらせもありました。
↓その様子が分かるマーニーのセリフがあります。

「ばあやはいつも機嫌が悪いの。
誰もいじめていると思わないでしょ。
ねえやたちは怖がらせることが好きなの」

言うことを聞かないとサイロに入れられると刷り込まれ、嫌がらせを受ける人達によってサイロへ連れて行かれるのです。

幼い子が恐怖心を抱くのも当然かもしれません。

サイロでマーニーがいなくなったと気づく杏奈の考察

マーニーがいなくなったことで「あなたまで私を置いていった」と泣きながら走るシーンがあり、回想で杏奈が祖母であるマーニーの葬式に参列している様子が描かれています。

回想ではただ人形を抱きしめるだけで、大人たちの無責任な会話が耳に入るのをじっと耐えています。

行く先のない当時の不安な気持ちと、1人にしないでと言いたかったのをずっと我慢していた表れではないでしょうか。

また回想には雷の音に部屋の中で杏奈が耳をふさぐシーンもあります。

こちらについては、恐怖でこの場から逃げたいしたいと思う気持ちも含まれていると感じました。

杏奈が泣きながら走っていたのは

空想はひとりにされたという喪失感と、置き去りにされた悔しさと悲しみ。
現実として雷が苦手なのでこの場から早く立ち去りたいと思う恐怖

という感じではないかと思います。

マーニーと杏奈の別れ

杏奈の夢の中での出来事となります。

杏奈は自分が置いていかれたとマーニーを責めますが、マーニーはこう言いました。

「そんなつもりじゃなかった。だって、あの時、あなたはあそこにいなかったのだもの」

確かにサイロのシーンでは杏奈のことを和彦と呼んでいたことが多々ありました。

空想とはいえ杏奈はサイロでマーニーの隣にいました。それをいなかったというマーニーにどうしてだろうと思いました。

このシーンについては伏線があまりなくて、サイロでの一連の流れを踏まえた考察となります。

マーニーは杏奈が作り上げた理想像です。
いわば「なりたかった自分」でもありました。

サイロを出て「1人にしないで」と泣き叫んだのが杏奈の本当の気持ちです。この様子は自分の気持を受け入れたと考えていいのではないでしょうか。

また雷が怖いから走ってサイロから出るというのも本当の気持ちです。

自分の気持を感じた杏奈に、理想像としてのマーニーの役目が終わったこをと指していると思われます。

マーニーが「許してくれると言って」とはどういう意味か

湿っ地屋敷でマーニーが自分の部屋の窓から杏奈と言葉を交わす最後のシーンです。

ここまででマーニーは杏奈が作り上げた理想像であり、なりたかった自分でもありました。

つまり、自分自身を許してあげる意味合いがあるのではないでしょうか。

マーニーにサイロへ行く前、自分の境遇を話した時に「わざと死んだんじゃないって分かってるけど、私を一人ぼっちにして許せない」といったセリフがありました。

マーニーの「許してくれると言って」というのは、それは祖母や両親のことではなく、自分を責めている杏奈に対して言ったことだと思うのです。

杏奈自身が自分を許すということは、昔のことも含まれますが現在の環境もひっくるめて自分の感情を受け入れるということだと感じています。

今まで鉛筆画が多かった杏奈の絵ですが、変化があったと分かるシーンがあります。

破られた日記を持ってきた彩夏に会うため部屋をあとにします。育ての母の頼子に送るハガキが映るのですが、色彩で描かれていました。

杏奈が色を付けるという行為が、自分を受け入れて前へ進もうとする杏奈の気持ちが表れていると思います。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました!